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Antechamber 1

「黄昏に獻ず」50部本に差し込まれた鉛筆淡彩畫。

 

本冊は、背・コーネルが濃緑の表革、平は濃緑のバックスキンで装丁されてをり、非常に落ち着いた、上品な雰圍氣をもつものである。外函も、濃緑別珍装で、統一された色調が印象的である。

刊行:書肆季節社 装丁:政田岑生

「彗星樂」30部本に差し込まれたペン畫

 

黒インクで描かれたペン畫であるが、唇や目などにほんの少し、彩色が施されてをり、これが繪全體に生気を與へてゐる。しかし、塚本が、女性像を描くとは、誰も思ひもしなかつただらう。

本冊は、背・コーネルが艶消し黒革、平は英國コッカレル社製の茶系マーブル紙で装丁されている。

刊行:書肆田中 装丁:伊吹洋一郎

 

この挿繪は、著者への説明不足のために、頁一杯に描かれることになつた。著者は大いに怒つたが、怪我の功名、頁一杯の半裸婦像の迫力は見るものに強い印象を殘す効果を生んだ。装丁者宛の、強い怒りを込めた手紙が殘されてゐる。

 

 ここで言ふ挿繪本とは、著者や畫家による肉筆畫が差し込まれたものを指してゐます。

「塚本」本では、著者の肉筆畫が差し込まれたものは、「黄昏に獻ず」50部本、「彗星樂」30部本のふたつが擧げられます。

さしゑほん

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